【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
翌日、土曜日。仕事は休みだ。うららかな日差し、桜の開花予想も出て街は華やいでいる。そんな陽気とは裏腹に私の心はどんよりしていて。
雅さんと別れたこともある。
それは自分で決めたことだし、後悔はない。
ただ、最後に怒らせてしまったことがどうにも悔やまれて。
午前中に橘さんとカフェで落ち合う。白いTシャツにモスグリーンのパーカー、ジーンズ。いつもの橘さんだ。
「その御曹司とはどうなったの?」
「別れた、昨日」
「じゃあ僕とつきあってくれるね?」
「断ります」
私は雅さんとも橘さんともつきあわない決心をしていた。
雅さんとつきあわないのは会社の利益のため、つまりは雅さんの立場を守るため。
そして橘さんとつきあわないのは自分の倫理を通すため。
テーブルの向こうの橘さんは目を丸くして私を見る。
「どうして?」
「彼女、大切にしてあげて」
「でももう彼女とは別れた」
「そういう問題じゃない」
彼女に頼まれたから、という理由からじゃない。
流産して彼女は傷を負っている、心に。ずっと憧れてきた先輩と結ばれて、たまたま新しい命を授かって、どんなに嬉しかったことだろう。
雅さんと別れたこともある。
それは自分で決めたことだし、後悔はない。
ただ、最後に怒らせてしまったことがどうにも悔やまれて。
午前中に橘さんとカフェで落ち合う。白いTシャツにモスグリーンのパーカー、ジーンズ。いつもの橘さんだ。
「その御曹司とはどうなったの?」
「別れた、昨日」
「じゃあ僕とつきあってくれるね?」
「断ります」
私は雅さんとも橘さんともつきあわない決心をしていた。
雅さんとつきあわないのは会社の利益のため、つまりは雅さんの立場を守るため。
そして橘さんとつきあわないのは自分の倫理を通すため。
テーブルの向こうの橘さんは目を丸くして私を見る。
「どうして?」
「彼女、大切にしてあげて」
「でももう彼女とは別れた」
「そういう問題じゃない」
彼女に頼まれたから、という理由からじゃない。
流産して彼女は傷を負っている、心に。ずっと憧れてきた先輩と結ばれて、たまたま新しい命を授かって、どんなに嬉しかったことだろう。