【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「ちなみに好きなひとって、誰なの? 言いたくなかったらいいんだけど」
「高校の先生なんです、数学の」
「付き合ってるとか?」


咲希さんは首を横に振った。片思い中か。


「告白はしたの?」


これも横に振る。


「もう卒業したので、会うこともなくて。だから、もういいんです。父と母が望むように雅さんと結婚しようと思ってます。藍本さんも橘さんっていう元カレとよりを戻されるんですよね? 私、藍本さんのことが気になってて。でもよかったです。あのときそう言ってませんでしたか?」
「元カレにもどるってこと? あのときって? え……」


ちょっと待って。
別れた場面を見た、ってこと?

つまりは。
あのキスのとき、咲希さんは狸寝入りをしていたってこと……。

それは納得したけど、あんなキスを未成年の前でしてしまったわけで。
顔がかあっと熱くなる。


「ううん、元カレにはもどらない。いろいろ事情があって」
「じゃあ、雅さんと?」
「それもわからない。私のことよりも、ねえ、咲希さん、本当にいいの? 告白もしないまま他のひとと結婚するなんて」
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