【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「ええ……まあ。雅さんはお兄ちゃんみたいな感じで家族になるって思えば抵抗はないですけど……」
今晩、よく考えます、と言って彼女はうつむいた。
*―*―*
残り時間、ひとりで歌うという咲希さんをおいて、私はカラオケボックスをあとにした。
今晩、咲希さんは答えを出すと言った。
それによって咲希さんの未来は変わるかもしれない。そして私と雅さんの未来も。
私はどうしたい?
雅さんが好き。もちろんそばにいたい。でも雅さんの重荷にはなりたくない。
その前に雅さんは私をどう思っているの?
一目惚れって、なに?
あとひとつ、わからないことがある。どうして雅さんは私と別れることを承知したのか、私のどこに幻滅したのか。
私の失恋を聞いて帰国を決めたほど、私を気に入ってくれたなんて、いまひとつ確証の持てない話だ。
雅さんに会いたい。
プルルルル。私のスマホが鞄の中で震えた。メールだ。
“副社長室で雅副社長がお待ちです!!! 唐澤”
*―*―*