【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「あ、あのう……咲希さま」
バタン!!
背後で大きな音がした。
「きゃあ!」
「咲希さまっ!!」
オレは咄嗟に彼女の肩を抱き寄せた。
音の方向を見れば、知らない誰かがトランクを閉めたところだった。思いのほか音が響いたらしい。
「大丈夫でございますか?」
「はい……」
見下ろせば間近に彼女の顔。上目づかいにオレを見ている。その下には開いたデコルテからのぞく谷間。
咲希さんの甘い匂いが鼻孔をくすぐる。クる、これはクる!
オレは慌てて彼女の肩から手を離した。
「く、クルマはこちらでございます」
後部座席のドアを開けて彼女を促す。でも咲希さんは乗ろうとしなかった。