【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
雅さんはスタッフを呼びつけ、色合いの異なる石を、と注文した。スタッフは店の奥からトレーに何かを載せて私の前に置いた。
黒いベルベットの布の上で輝く粒。台座もついておらず、コロリと動く。ダイヤモンドなのは庶民の私にもわかった。かなり大きい。こんな粒の大きさ、人工ダイヤでも見たことがない。しかも3粒。
よく見ると微妙に輝き方が違う。透明なままに光を放つ石、やや青く光る石、虹色に反射させて主張する石。同じダイヤモンドでもこんなに違うなんて。
「シリウスなら真ん中のか?」
「そうですね」
「じゃあ、これで。デザインはどうする?」
「お任せします。シンプルに縦爪でも何かデザインをあしらっても」
「即答か。俺のために予習でもしたか?」
「いえ」
橘さんに内緒でこっそり買った結婚情報誌にはエンゲージリングの特集が掲載されていた。王道の縦爪、誕生石を組合せたデザインリング、結婚後もマリッジリングと重ね付けできるもの、予算のない彼にはメレダイヤを集めたデザインなど、様々なものがあった。どのデザインも素敵だった。橘さんが贈ってくれるならどのデザインでもよかった。どんなに小さいダイヤモンドでも。
橘さんも今頃、彼女に選んであげているかもしれない。本当は私がそこにいるはずだったのに。
頭を振る。もう忘れよう。忘れなくちゃ。
「じゃあ、縦爪で」
そう声にしていたのは雅さんだった。雅さんは私の背中を押して別のショーケースに移った。そこにはネックレスやピアスなどがデザインのシリーズごとに並んでいた。さっきのショーケースがエンゲージリングならこっちのは普段使いのシリーズだ。
それでも値段は私の買うものより10倍はした。ダイヤの他にもアクアマリンや珊瑚、ピンクトルマリンなどもある。3月の誕生石特集らしい。
黒いベルベットの布の上で輝く粒。台座もついておらず、コロリと動く。ダイヤモンドなのは庶民の私にもわかった。かなり大きい。こんな粒の大きさ、人工ダイヤでも見たことがない。しかも3粒。
よく見ると微妙に輝き方が違う。透明なままに光を放つ石、やや青く光る石、虹色に反射させて主張する石。同じダイヤモンドでもこんなに違うなんて。
「シリウスなら真ん中のか?」
「そうですね」
「じゃあ、これで。デザインはどうする?」
「お任せします。シンプルに縦爪でも何かデザインをあしらっても」
「即答か。俺のために予習でもしたか?」
「いえ」
橘さんに内緒でこっそり買った結婚情報誌にはエンゲージリングの特集が掲載されていた。王道の縦爪、誕生石を組合せたデザインリング、結婚後もマリッジリングと重ね付けできるもの、予算のない彼にはメレダイヤを集めたデザインなど、様々なものがあった。どのデザインも素敵だった。橘さんが贈ってくれるならどのデザインでもよかった。どんなに小さいダイヤモンドでも。
橘さんも今頃、彼女に選んであげているかもしれない。本当は私がそこにいるはずだったのに。
頭を振る。もう忘れよう。忘れなくちゃ。
「じゃあ、縦爪で」
そう声にしていたのは雅さんだった。雅さんは私の背中を押して別のショーケースに移った。そこにはネックレスやピアスなどがデザインのシリーズごとに並んでいた。さっきのショーケースがエンゲージリングならこっちのは普段使いのシリーズだ。
それでも値段は私の買うものより10倍はした。ダイヤの他にもアクアマリンや珊瑚、ピンクトルマリンなどもある。3月の誕生石特集らしい。