【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
少し久しぶりの橘さんがいた。手を挙げ、私に微笑みかける。別れたなんて信じられないほど自然な姿だ。
2人でエレベーターに乗り込み、部屋に行く。前みたいに肩を組んだり手をつないだりなんてことはなかったけれど、少し、心が動いた。鍵を開けて部屋に入る。
「変わらないね、紬の部屋」
「だってまだ2週間ちょっとだよ」
「そうだね。荷物は?」
「えっと、そこのバッグに」
「ありがとう」
ここで帰してしまえばもう橘さんと会うこともない。商業施設の白紙撤回で会社で会うことはあるかもしれないけれど。なんとなく惜しくて、つい、その話をした。
「僕もさっき連絡を受けてね、びっくりしてるところ」
「そうなんだ。私も聞いたばかりで動転してる」
「実は僕も。もう決定事項案件として動いてたからね」
「え?」
橘さんは説明した。商業施設を請け負うのは契約前だったけれど、ほぼ確定されたと皆が思いこんでいて、すでに着手していたこと。たとえば施設に入る仮契約したテナントもあるという。これから始まる工事に前金で鉄骨などの材料も押さえてあるとも。
契約秒読み段階だっただけに、すでにいろんな企業が動いている、と橘さんは言った。
「紬からも白紙撤回をやめるよう、上層部に掛け合ってもらえないか?」
「私はただの社員でそんな権限はないよ」
「このままだとかなりの損失になる。大打撃だ。僕も無事ではいられないよ」
「そんなことを言われても」
2人でエレベーターに乗り込み、部屋に行く。前みたいに肩を組んだり手をつないだりなんてことはなかったけれど、少し、心が動いた。鍵を開けて部屋に入る。
「変わらないね、紬の部屋」
「だってまだ2週間ちょっとだよ」
「そうだね。荷物は?」
「えっと、そこのバッグに」
「ありがとう」
ここで帰してしまえばもう橘さんと会うこともない。商業施設の白紙撤回で会社で会うことはあるかもしれないけれど。なんとなく惜しくて、つい、その話をした。
「僕もさっき連絡を受けてね、びっくりしてるところ」
「そうなんだ。私も聞いたばかりで動転してる」
「実は僕も。もう決定事項案件として動いてたからね」
「え?」
橘さんは説明した。商業施設を請け負うのは契約前だったけれど、ほぼ確定されたと皆が思いこんでいて、すでに着手していたこと。たとえば施設に入る仮契約したテナントもあるという。これから始まる工事に前金で鉄骨などの材料も押さえてあるとも。
契約秒読み段階だっただけに、すでにいろんな企業が動いている、と橘さんは言った。
「紬からも白紙撤回をやめるよう、上層部に掛け合ってもらえないか?」
「私はただの社員でそんな権限はないよ」
「このままだとかなりの損失になる。大打撃だ。僕も無事ではいられないよ」
「そんなことを言われても」