【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
一瞬、雅さんの顔が浮かんだ。彼に頼めばもしかしたら撤回をやめてくれるかもしれない。
橘さんは私を見つめていた。
「今、考えてくれたでしょ。上層部に知り合いがいるの?」
「いないこともないけど。ただ、今回の白紙撤回の言い出しっぺかも」
ならなおのこと、と橘さんは言った。手にしていたバッグを置き、私を正面から見つめた。
「僕、後悔している」
「なにを」
「紬と別れたこと。なにがあっても紬を選ぶべきだった」
「え……」
どきん、胸が強く鼓動した。橘さんの言葉に私は揺れる。
もしかしたら、という気持ちが湧き上がってきた。でも頭の中では理解している。相手の女の子のこと、赤ちゃんのこと。どう考えても現実的ではない。
「そしたらお腹の赤ちゃんはどうなるの?」
「それを言われたら、どうにもならないけど。紬、これだけは信じて。俺は紬のことを愛してる。過去も今も」
橘さんは一歩、私に近づいた。私はどうしていいかわからず一歩下がる。そんなことを繰り返してとうとう壁に追い詰められた。橘さんが手を壁に当て、顔を寄せてきた。こんな切羽詰まった橘さんを見るのは初めてだ。
「紬」
「橘さ……」
橘さんは私を見つめていた。
「今、考えてくれたでしょ。上層部に知り合いがいるの?」
「いないこともないけど。ただ、今回の白紙撤回の言い出しっぺかも」
ならなおのこと、と橘さんは言った。手にしていたバッグを置き、私を正面から見つめた。
「僕、後悔している」
「なにを」
「紬と別れたこと。なにがあっても紬を選ぶべきだった」
「え……」
どきん、胸が強く鼓動した。橘さんの言葉に私は揺れる。
もしかしたら、という気持ちが湧き上がってきた。でも頭の中では理解している。相手の女の子のこと、赤ちゃんのこと。どう考えても現実的ではない。
「そしたらお腹の赤ちゃんはどうなるの?」
「それを言われたら、どうにもならないけど。紬、これだけは信じて。俺は紬のことを愛してる。過去も今も」
橘さんは一歩、私に近づいた。私はどうしていいかわからず一歩下がる。そんなことを繰り返してとうとう壁に追い詰められた。橘さんが手を壁に当て、顔を寄せてきた。こんな切羽詰まった橘さんを見るのは初めてだ。
「紬」
「橘さ……」