【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「上司って女性じゃなかったの? 紬、この人は?」
「だから会社の上司」
直属ではないけど広い意味では上役だ。間違ってはいない。
雅さんはさらに顔を険しくしていた。
「キミは誰?」
「僕は橘といいます。この子の元恋人で」
「ふうん? 宣戦布告?」
「せ……!」
なんでそうなるの?? 思わず声を漏らした私を雅さんはギロリと私をにらんだ。
「宣戦布告って。あなたは紬のなんですか。上司ですよね」
「紬は俺の婚約者だ」
「え? 紬が」
にわかには信じられないようだった。当然だ、偽物の婚約者なのだし。
嘘と見破ったのか、橘さんが鼻を鳴らした。橘さんってこんなキャラだった?
「何か事情があって婚約を?」
「事情などない。紬は俺の大切なひとだ」
「大切な……。そもそも合意はしてるんですか? あなたが一方的に婚約してると思ってるんじゃないですか。いまはストーカーなんていう人種もいますから」
「合意しているよ。もう体の関係もある」
私は頭を抱えた。なんてことを……!!
「でまかせを。何か証拠でも?」
それに応じる橘さんも橘さんだ。
「ああ。……にホクロがある。ハート型の」
「☆★※@%$●○!!」
それを聞いた橘さんの目の色が変わったのを雅さんは見逃さなかった。橘さんも知っている。私のその大事なところの近くに大きなホクロがある。母がよく、紬の大切なところに大きなホクロがあって、おむつを取り替えるときによく見えて心配したのよ、と苦笑いしていた。自分が直接見れる場所ではないので一度鏡で見たことはあって、女性独特のグロテスクなモノにそれっきり見ることはなかったけれど。
消えてはなかったんだ、当たり前だけど。