【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
こんなキス、初めてだ。
体の力が抜けていく。
「雅さ……」
「こんなに感じて。程がある」
膝が抜けて落ちそうになる私を雅さんは抱き留めた。ぎゅうと抱きしめられて背中が痛い。こんな乱暴な雅さん、知らない。
フェミニンな雅さん、意地悪に笑う雅さん。どちらも余裕のある雅さんならではの表情だ。でも今の雅さんにはそんなゆとりがない。どうして? 痛いほどのキスに頭の中が歪む。
わからない。
表向きの婚約者でも、外の男性を部屋に入れたから? もし誰かに知られたら体面が悪いから?
顔の向きを変えて熱い口づけは続けられた。雅さんの舌は奥に奥にと進み、私の熱を絡みとっていく。甘い快感に体が震える。
「だ……だめ……雅さ……」
雅さんの指が私のブラウスのボタンにかかる。上から順に片手で器用に外され、胸元が涼しくなる。はだけられたそこに雅さんの指が滑る。下着を押し下げ、その指先がふくらみをなぞる。私の体がぴくりと跳ねた。
その瞬間、雅さんの指は動きを止めた。そして下着から手を抜かれ、同時に唇も離れた。私と雅さんの間に空間ができる。
その空間に雅さんは深く息を吐いた。そして外したボタンを下から順にはめていく。熱を帯びた体を冷ませというように。
服を整えると、彼はにっこりと笑った。いつもの余裕綽々の雅さんだ。
「雅さん?」
「キミはもっとほしいのか? いけない子だね。男を部屋に入れた罰としてオアズケ」
「べ、別にしてほしいわけじゃないんですけど!」
「こんなに欲しそうな顔してるのに?」