【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「着てみたらどうですか? 直してもらうなら早いほうがいいでしょうし」
私とロッカー室に行って着替えることにした。武田さんにもついてきてもらった。袋の中身はペイルブルーのワンピースとおそろいのボレロだった。
するりとしたなめらかな生地としっかりとした縫製はどこか日本製を思わせる丁寧な作りだった。細身のデザインなのにきつくない。これならネックレスとも色が合う。
「このデザインなら髪を上げたほうがいいですね。あ、藍本さんっ、キスマーク! ほら、ここ!」
やっぱり雅副社長と深い関係なんですね!、と武田さんは嬉しそうに笑っていた。
*―*―*
定時よりも1時間前に早退し、ロビーに降りた。出先から帰社した営業部のひとたちもいたが、定時前でいつものように混雑はしていなかった。
今日は雅さんは車には乗っていなかった。セキュリティーゲートの前で立っている。いつもの三つ揃いだが、少しだけラメの入った紺のスーツにスエードのリボンタイだった。胸には生花のイエロー系のコサージュ。こういうスタイルを嫌みなく着こなせてしまうのは、雅さんだからこそなんだろう。
私を見つけると手を挙げて微笑む。
「ハニー。スーツはどうだ?」
「とても着やすくて、でも細く見えるし。やっぱりいいものは違うんですね。色も素敵です。ご用意していただいて」
「ニューヨークから取り寄せたんだが間に合ってよかった。気に入ってもらえたのもね。あと、これ」
雅さんは手に小さなブーケを持っていた。イエローガーベラやミニバラのそれは雅さんのコサージュとお揃いのようだ。それを私のボレロにピンで留めた。
「似合うよ」
「ありがとうございます。生花のコサージュなんて初めてです」
「そう。俺もキミのアップは初めて見たかな」
「あ……」
私とロッカー室に行って着替えることにした。武田さんにもついてきてもらった。袋の中身はペイルブルーのワンピースとおそろいのボレロだった。
するりとしたなめらかな生地としっかりとした縫製はどこか日本製を思わせる丁寧な作りだった。細身のデザインなのにきつくない。これならネックレスとも色が合う。
「このデザインなら髪を上げたほうがいいですね。あ、藍本さんっ、キスマーク! ほら、ここ!」
やっぱり雅副社長と深い関係なんですね!、と武田さんは嬉しそうに笑っていた。
*―*―*
定時よりも1時間前に早退し、ロビーに降りた。出先から帰社した営業部のひとたちもいたが、定時前でいつものように混雑はしていなかった。
今日は雅さんは車には乗っていなかった。セキュリティーゲートの前で立っている。いつもの三つ揃いだが、少しだけラメの入った紺のスーツにスエードのリボンタイだった。胸には生花のイエロー系のコサージュ。こういうスタイルを嫌みなく着こなせてしまうのは、雅さんだからこそなんだろう。
私を見つけると手を挙げて微笑む。
「ハニー。スーツはどうだ?」
「とても着やすくて、でも細く見えるし。やっぱりいいものは違うんですね。色も素敵です。ご用意していただいて」
「ニューヨークから取り寄せたんだが間に合ってよかった。気に入ってもらえたのもね。あと、これ」
雅さんは手に小さなブーケを持っていた。イエローガーベラやミニバラのそれは雅さんのコサージュとお揃いのようだ。それを私のボレロにピンで留めた。
「似合うよ」
「ありがとうございます。生花のコサージュなんて初めてです」
「そう。俺もキミのアップは初めて見たかな」
「あ……」