【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
§結婚ってそういうものだろ
懇親会は無事に終わった。会う人会う人に雅さんは私を紹介して仕事の話をした。立食形式だったけど、ずっと誰かと話していて、飲まず食わずだった。

それに慣れない場所に緊張して精神的にも疲れていた。履き慣れたパンプスだったけど足も痛い。


「ハニー、疲れただろう? ゆっくり食事をしよう」


雅さんは優しく微笑み、私をエレベーターへと誘導する。そして上へ向かうボタンを押した。ホテル内のレストランに行くのかと思いきや、到着した階は普通の客室階だった。

まさか。


「雅さん?」
「ルームサービスを取ってある」


そんなことを言って。またあの夜のようにやるつもりじゃ……。


「キミはわかりやすい。一度ベットを共にした仲だ。今更だろう?」
「い、イヤです!」
「タチバナと別れたんだし、貞操を守る相手もいないのに?」
「雅さんと私は違うんです! やれれば誰でもいいなんて思って……」
「俺だって思ってないけどね」


私の顔をのぞき込む雅さんの瞳は笑ってはいなかった。なんだか……焦る。

雅さんは私の背中を押して歩かせる。物静かな通路を進み、角の部屋で止まった。
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