【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
それに気づかないふりでフィルターをカップにセットする。横から伝わる雅さんの熱……苛立ちの。
「雅さんならどうしますか? もし遊びで寝た相手が妊娠したら」
「俺は金はあるからな」
「聞く相手を間違えました。もういいじゃないですか。雅さんには関係ない話です」
「話をそらすな。逃げるのか?」
「逃げてないですよ。逃げてないからこうして別れて」
「なぜ別れたあともこうして縋っているんだ? 俺にはただ、考えないようにして逃げてるだけにしか見えない」
図星だ。あまりの言い当てられように雅さんを見上げた。フラれたことに気づきたくない自分をなだめるための手段だ。
怖い視線にうつむく。
どうしてここまで私を追いつめるのかが分からない。婚約者のふりをしていればよかったんじゃないの?
帰りたい。すぐこの場から立ち去りたい。
雅さんは執拗だった。私の両肩をつかみ、雅さんの方へ向けさせる。それでもうつむいていると、彼は手を肩から頬に移した。ぐいと上を向かされ、雅さんと目が合う。真剣な眼差しで彼は私を正面から見つめる。
「お前は振られたんだ。タチバナは他の女を選んだんだ。もしくは他の女が妊娠する可能性を理解していてやったんだ。それだけの覚悟で女を誘ったんだろ。脳裏にはキミの顔が浮かんだに違いない。でも彼は若い女の誘惑に負けた」
「やめてくださいっ!」
「やめない。キミが現実を直視するまではやめない」
「わかってます、そんなこと!」
「雅さんならどうしますか? もし遊びで寝た相手が妊娠したら」
「俺は金はあるからな」
「聞く相手を間違えました。もういいじゃないですか。雅さんには関係ない話です」
「話をそらすな。逃げるのか?」
「逃げてないですよ。逃げてないからこうして別れて」
「なぜ別れたあともこうして縋っているんだ? 俺にはただ、考えないようにして逃げてるだけにしか見えない」
図星だ。あまりの言い当てられように雅さんを見上げた。フラれたことに気づきたくない自分をなだめるための手段だ。
怖い視線にうつむく。
どうしてここまで私を追いつめるのかが分からない。婚約者のふりをしていればよかったんじゃないの?
帰りたい。すぐこの場から立ち去りたい。
雅さんは執拗だった。私の両肩をつかみ、雅さんの方へ向けさせる。それでもうつむいていると、彼は手を肩から頬に移した。ぐいと上を向かされ、雅さんと目が合う。真剣な眼差しで彼は私を正面から見つめる。
「お前は振られたんだ。タチバナは他の女を選んだんだ。もしくは他の女が妊娠する可能性を理解していてやったんだ。それだけの覚悟で女を誘ったんだろ。脳裏にはキミの顔が浮かんだに違いない。でも彼は若い女の誘惑に負けた」
「やめてくださいっ!」
「やめない。キミが現実を直視するまではやめない」
「わかってます、そんなこと!」