【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
お昼は武田さんに誘われて近くのカフェに来た。有機野菜をふんだんに使ったメニューが人気のお店で、私はサーモン&アボカドのサラダボウルを注文した。サーモンとアボカドのパステル色がいかにも春っぽい。武田さんは鶏肉の黒酢あんかけ丼で、根菜類やパプリカが彩りよく飾られていた。
初めは白紙撤回になった商業施設誘致の話だったけれど、それは雅副社長の差し金だろうという流れになって、結局は副社長との話に変わった。社員食堂ではなく社外のカフェに誘われた時点でこの話が出るのは予測していたけれど。
「藍本さんと副社長、急展開ですね。前のプロジェクトで面識があったと言ってましたけど、それだけじゃないですよね? だって月曜日の夕方に車デートして火曜日には副社長の婚約者って噂になって水曜日の夜にはスイートルームでお泊まりですよ」
「ま、まあ……そうね」
「白状してください、藍本さん。いつからお知り合いだったんですかぁ?」
向かいに座る彼女は上目づかいににやけている。
私はひと息吐いて、事の次第を彼女に話すことにした。先週の金曜日、記憶をなくして目覚めたときにはスイートルームで寝ていたこと、雅さんがいたこと、婚約者のふりをしてほしいと頼まれたこと、月曜日にジュエリー店に行ったこと、火曜日には私の部屋で橘さんといあわせてしまったこと、水曜日である昨日は異業種交流会に出てそのままスイートルームに泊まったこと。
初めは白紙撤回になった商業施設誘致の話だったけれど、それは雅副社長の差し金だろうという流れになって、結局は副社長との話に変わった。社員食堂ではなく社外のカフェに誘われた時点でこの話が出るのは予測していたけれど。
「藍本さんと副社長、急展開ですね。前のプロジェクトで面識があったと言ってましたけど、それだけじゃないですよね? だって月曜日の夕方に車デートして火曜日には副社長の婚約者って噂になって水曜日の夜にはスイートルームでお泊まりですよ」
「ま、まあ……そうね」
「白状してください、藍本さん。いつからお知り合いだったんですかぁ?」
向かいに座る彼女は上目づかいににやけている。
私はひと息吐いて、事の次第を彼女に話すことにした。先週の金曜日、記憶をなくして目覚めたときにはスイートルームで寝ていたこと、雅さんがいたこと、婚約者のふりをしてほしいと頼まれたこと、月曜日にジュエリー店に行ったこと、火曜日には私の部屋で橘さんといあわせてしまったこと、水曜日である昨日は異業種交流会に出てそのままスイートルームに泊まったこと。