【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
その軽いキスに肌が粟立った。それは見知らぬ男にキスされて怯えているからではない。皮膚が甘くしびれる。私、この人と……したらしい。身体が覚えている。

唇が離れ、目を開ける。目の前には優しく微笑む男。


「昨日と感じが違うね」
「そ、そうですか」
「昨日の方がもっと甘い声を出してた。夜と朝で切り替えるタイプ?」
「切り替える?」


私がそう尋ねると、彼は口元を私の耳元に寄せた。


「……のしかた」


露わすぎるその単語に私の頬は火を噴いたように熱くなった。


「まさか、そんなこと……っ、あっ」


反論しようとするとそのまま肩を押されて私は後ろに倒れた。枕に埋まる頭。目の前には男の顔。知らない男に押し倒され、頭の中はパニック状態だ。でも身体は妙に反応している。

男は一瞬、眉をひそめた。


「あ、ひょっとして……覚えてない? だいぶ酔ってたし」


認めるべきか、認めざるべきか。ぐるぐると頭の中で思考がフル回転する。でも嘘をついたところでばれるのは明白だ。もうここは腹を据えて正直に話そう。


「すみません、覚えてません! ここに来た経緯も服を脱いだこともこんなに痣をつけられたことも」


彼はポカンと口を開け、直後、豪快に笑い出した。


「おもしろいな、キミ」
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