【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「好きなんじゃないですか、副社長のこと」
「え……?」


私が雅さんを、好き?
頭の中でぐるぐるとその言葉が渦巻き、視界が揺れた。
そんなはず、ある訳ない。
泥酔した女と平気でしちゃうような男……。

目の前で手のひらがひらひらと動いた。武田さんが、藍本さん藍本さん!、と私の名を呼びながら手を振っていた。


「な、なに?」
「さっきのは全部ウソです。藍本さんを試してみたんです。雅副社長は素敵な方ですけど、キスしたいとか思ってませんから。藍本さんの大切なひとですし」
「ち、違うから。私はあんなひと、好きじゃないから! 大切でもないからっ!」


くすくすと笑う武田さん。むきになるのは怪しいですよ、と武田さんは私の否定の言葉をまったく聞き入れてくれなかった。




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