【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
§好きって言われたい
雅さんと新居の相談をして、コーヒーのお代わりと称して唐澤さんを呼び、引っ越しの相談もした。建設中のタワーマンションは来年度の完成予定なので、挙式後は今の雅さんのマンションに住むことになった。

内線が鳴り、唐澤さんがソファから立ち上がってデスクの内線を取りに行った。


「ブライアントホテルオーナーの二階堂さま? かしこまりましたっ! 唐沢が迎えに上がります!」


雅さんは唐澤さんとアイコンタクトで会話をする。唐澤さんはお辞儀もせず、副社長室を飛び出していった。わずかに片方の眉を上げる雅さんの様子にトラブルの匂いが漂う。

二階堂氏? 昨日のホテル誘致の話でなにか進展があったんだろうか。でも昨日の雅さんの口振りだと、雅さんが何かの提案をして、それから、という流れだったと思うんだけど。

不安そうに見つめる私に気づいて、雅さんはにっこりと微笑んだ。


「心配するな、ハニー」
「じゃあ私はこれで失礼します」


立ち上がる私の手首をつかみ、ぐいと引き寄せて雅さんはキスをする。今夜は送ってやれない、と耳元で囁された。

名残惜しく雅さんの部屋を出ると、通路の曲がり角の向こうから話し声が聞こえてきた。唐澤さん?


「さようでございますかっ! 二階堂さま!」
「うちの娘になにか問題でもあるのかね? 昨夜の女性はお遊びなんだろう? 痣が見えてたぞ、ここに。あれは雅くんが遊びでつけた証拠だろう?」
< 78 / 237 >

この作品をシェア

pagetop