【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
唐澤さんは、のっぴきならない事情で、とか、逃げ場のない状況でして、と雅さんを庇う言動を繰り返した。

咲希さんとデートすることをトラブルと表したけど、そのトラブルが想定内というなら、咲希さんとデートすることを最初から想定していたわけで。

ぶるぶる。頭を振る。何を考えているの。雅さんを信じよう。


ひと晩たって日曜日の朝。やはり雅さんから連絡はない。高校を卒業したばかりの未成年者をホテルに連れ込んで「ハニー♪」なんてやってはいないだろうけれど、それでも気になってしまう。

咲希さんと水族館デートして食事くらいは行っただろうし。
雅さんの車の車で移動するのだって、咲希さんを後部座席にということはできないだろうし。助手席に乗せて車デート?

ほら、男は若い女の子に弱いっていうし。橘さんの例がある。
酔った勢いで、なにかの拍子で、つい、ということもある。

それに咲希さんは雅さんのことが好きだから、もしかしたら咲希さんからアプローチをかけるかもしれない。この機会を逃したら雅さんは私と結婚してしまう。そんな背水の陣でふたりきりになれるのなら、咲希さんも大胆な手を考えるだろう。


“私をたべてくださいっ!”
“いいのか、咲希”
“私の初めてを雅さんにたべてもらいたいんですっ!”
“そうか、じゃあハニー♪”


ぶるぶる。頭を振る。
でも、意中でない女の子にせまられてすぐに乗るような人じゃない。きっと。

待って。でも、乗らないって言い切れる?
泥酔した見ず知らずの私を車に乗せてスイートルームに連れ込んで、やってしまうような男だ、雅さんは。
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