【番外編追加中】紳士な副社長は意地悪でキス魔
「あ、ホントだ。雅副社長ですね。もしかして副社長も視察に来たんでしょうか。あ、青です。藍本さん、クレープでも食べて帰りませんか?」


信号の色が変わり、私と武田さんは横断歩道に足を向けた。角度が変わって雅さんは後ろ姿になる。となりにいるのは女性……しかも膝上のミニスカート、ブーツ。あの背格好、もしかして。

でもすぐに見失ってしまった。



オフィスにもどる。部長や課長は不在だった。これからの予定を組むのに奥にある会議室にいるようだ。ガラス張りの壁の中で大きくジェスチャーをして議論していた。

それよりも。私と武田さんが入室したとたん、オフィスに残っていた皆が口をつぐんだ。

え、なに?
武田さんはメンバーにどうしたのかとたずねる。でも誰も口を割ってくれない。ようやく、ひとりが話してくれた。


「実は午前中、おみえになったんです、ホテルオーナーの令嬢が」
「ブライアントホテルオーナーの二階堂氏の?」
「見学だそうです」
「なんでうちの会社を見学してるわけ」
「社会科見学って雅副社長はおっしゃってましたよ」


うちの会社を見学?
しかも雅さんと?
見学だけなら、総務課か広報課だ。たまに来る近隣の小学校の社会科見学は広報課が案内している。

なぜ雅さんと……。

< 97 / 237 >

この作品をシェア

pagetop