チェンジ! ~僕に恋して君を愛する~
しかし、だ。
困ったことに、前橋の新居は、何と1DKのアパートだった!
中之条の団地よりも部屋数が少なくなっただけじゃなく、更に狭くなった。
窮屈とまでは言わないが、これこそ以前の僕の実家(僕も住んでた)に比べると、「箱のような家」と言える。

だが困っているのは狭さではない。
1DKだから、寝室として使える部屋が1つしかないということに、僕は困っているのだ。
それはつまり、時子さんと一緒の部屋で寝なければならないということを意味する。

時子さんは、僕が偶然でも彼女に触れてしまっても、嫌がる素振りは見せない。しかし、僕が「りげんさん」ではなく僕だと知っても、完全に警戒心を解いてない。
そりゃそうだろう。僕と知り合ってあまり日数は経ってないんだ。時子さんにとって、僕はまだ「よく知らない男」という位置づけでしかないはずだ。

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