チェンジ! ~僕に恋して君を愛する~
「それが私の初体験だった。痛くて・・ただ痛くて。涙は、まるで枯れてしまったように不思議と出なかった。とてもじゃないけど誰にも言えなかったわ。両親にも・・・。でも、それから妊娠してることが分かって。私は両親に話した。赤ちゃんを生むと決めたことも含めて、事実を全て。両親は堕ろせと言ったわ。事情が事情だから。でも私は、どんな事情でも、自分の体に宿った命を自分の都合で始末するなんてとても・・・」
「そうだよな。僕だってそんなことできないよ」と言った僕に、時子さんは「ありがと」と呟いた。

私の気持ちを分かってくれてありがとう、という意味だと僕は解釈した。

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