チェンジ！ ～僕に恋して君を愛する～

「もう行ったわよ。今朝一番の列車で」
「えっ？どこに」
「東京でしょ！あの子は東京の慶葉（けいよう）大学の医学部に入学が決まったんだから」
「慶葉かぁ。あそこの医学部はいいよ。設備も環境も整ってるし。教授たちも・・」
「ちょっと。なんであんたがそんなこと言うのよ。まるで知ってるような口聞いて」と奥さんに言われた僕は、ハッと口をつぐんだ。

まさか「母校だから」なんて言えない言えない！
中身は僕でも外見は「りげんさん」だってこと、忘れてしまってた・・・。

「あ、ねえ。でも慶葉って私立だよ？医学部となれば結構なお金がかかると思うんだけど・・・」
「奨学金もらえること、忘れたの？」
「えっ？いやいやいやいや・・あぁそうか。奨学金！そうだったな。そうか・・。たまき、がんばったんだなぁ」
「そうよ。あの子、医者になるのが夢だから」と言った奥さんの顔はとても柔和で、「たまき」のことをとても誇らしく思っていることが、僕にも十分伝わってきた。