チェンジ! ~僕に恋して君を愛する~
少なくとも「たまき」は、素晴らしい母親に育ててもらったおかげで、グレたり道を踏み外した人生を歩んではいない。
それだけで、僕はホッとした。
しかし・・。

「奨学金だったら返済しないといけないよな。それに東京で一人暮らしをするなら、生活費だってかかるだろう」
「うん。そのためにあの子、一生懸命バイトしてお金貯めたからね。あっちに行ってもバイトはするって言ってるし、私も出来る限り仕送りする」

僕は自然に「すみません」と言いながら、奥さんに頭を下げていた。
「今までありがとう」「苦労かけてごめん」という意味を込めて。

「あのさ」と奥さんに言われて、僕は頭を上げた。

「そういうわけだから、約束してたとおり、私と離婚して」
「・・・え」

< 33 / 163 >

この作品をシェア

pagetop