チェンジ！ ～僕に恋して君を愛する～

米を研いだことすらない僕が、小さな家の台所で、初めて包丁を握った。
男３０にして厨房に立つ・・・あ、「りげんさん」は４４歳だから、男「４４」にして、だな。
年齢の差（ギャップ）にも早く慣れないといけない。
「僕は４４歳だ」と何度か呟いて、気合いを入れ直した。

今日は冷蔵庫の中にあるものを拝借した。
この食品だって、時子さんが一生懸命働いて稼いだ金で買ってくれたものだから、申し訳なさが先立ってしまい、「時子さん、勝手に使わせてもらってごめん」と心の中で謝りながら、冷蔵庫から肉や野菜を取り出した。

今、僕は無職なんだから、せめて家事くらいはすべきだ。
そして早いとこ職を見つけて僕も稼がなきゃ。
時子さんと一緒に暮らすなら。
結婚生活を続けたいなら・・・。