幼なじみが好きでしょうがない
「おい、あいつに電話かけてみろよ」
「え、やだよっ……」
「なんでだよ」
「だってっ……」
「……」
「だって、怖いもん。」
「はぁ……」
と、大雅は呆れたようにため息をつき
私が手に持っていた携帯を無理矢理奪った。
「ちょっ……!」
そういった時には、もう遅く
----- プルルルルルル。
画面の表示には、" 手嶋柊真 " の字が書かれていた。
「ほら。」
と、携帯を私に出してくる。
「ちょっ…えっ……」
---- ガチャ。
と、柊真が電話に出る音が聞こえた。
私は、大雅の手から携帯を奪い返した。
『もしもし?』
「も、もしもし?」
『どうしたの?』
「今、何してるかなあ…とか。」
『あぁ…今?
まだ塾。休憩中。』
「そっ…か。」
嘘、つかれた。
だって、あなたは少し遠いところ、でも私から見える場所にいる。
私は気づいたら、勝手に電話を切っていた。
塾……?
休憩中……?
休憩中に、ここに来てるの……?
塾のみんなと……?
それとも…女の子と二人で……?
電話を切ったあと、私は、さっきまで電話をしていた、彼を見た。
彼は、電話を勝手に切られてビックリしたのか、驚いた表情をしたあと、再び、女の子と楽しそうに笑いながら去って行った。
なんなんだろうね……
聞きたい…よ…………?
でも……
聞けないよ……
怖い……。
「ほら、帰るぞ。」
と、大雅は、今にも涙が出てきそうな私の、手を引いた。
「大雅っ………………たいがぁ…」
「何も言うな。」
そう言って、泣きながら歩く私の手を握り、家まで帰った。