幼なじみが好きでしょうがない



だって………………。


喧嘩してたって言ってもさ…
一緒に住んでたんだよ?



私は、その夜、夢を見た。




『芽生。俺、芽生が好き。』

目の前にいるのは、大雅。


私の目を見て、そう言ってる。



『でも、マリアを選んだんでしょっ……?』

『それは、理由があったんだ。』

『理由……?』

『実は……………………』


なにか話してる。
でも、なんて言ってるのかわからない。

聞こえない。


『ねえ、なんて言ってるの?』




「起きてって言ってるのよ?」


へ?
この声………………。

その瞬間。
私は、ガバッと起き上がった。


「おはよう。芽生。」

ベッドの横には、お母さんがいた。


なんだ、夢か。



はぁ……今日から新学期。


なんかな~………………。
気分上がらない。


なんとなく、隣の部屋にいつものように行くと、誰もいなく、ベッドと、机だけがあった。


そうだ。


帰ったんだった。




なんか、すごく寂しい。


あんなに、ひどいこと言われたのに
寂しいなんておかしいかな。

まだ、少し、荷物が残ってるみたい。


クローゼットの中には、私と同じ匂いのする、大雅の服。

なんか、キモいね、私。



それより…

「準備しなきゃ……」


朝ごはんを食べるため一階へと降りた。

そして、着替えて…歯磨きをして
家を出ようとした。


玄関には、大雅の靴はひとつもない。


寂しい。悲しい。


「いってきます。」


家を出ると、りりがいた。


「おはよう、芽生……ってどうしたの?顔、死んでるよ?」

そんなの言われなくてもわかってるよ……。


私は、昨日の夜のことや、大雅がいなくなったことを話した。



「そっ……か。…………じゃあやっぱり、芽生は大雅くんが好きなんだ?」


「そう……なんだ…と…思う……。」

私がそういうと、りりは明るく笑った。


「大丈夫だよっ。恋は迷う、迷路みたいなものなんだから。」

「りり…………。」



でも……柊真にちゃんと話さないとだよね。



< 157 / 200 >

この作品をシェア

pagetop