幼なじみが好きでしょうがない



【大雅Side】


最近、俺にベタベタまとわりついてくる奴がいる。

俺はだいたい、こういうのは面倒臭い。

でも、こいつは、案外そうでもなかった。


「今岡くん?」

呼ばれたから振り返ると

その、こいつがいた。


「あ、おはよ」

と、俺が言うと


「おはようっ」


そう、こいつは、清水凛。


美人で、気さくで、話しやすい。
いつも、ひっつきまわってくる、女とは少し違う。

なんか、割と面倒くさくない。



「今日、一緒に帰れる?話したいことがあるんだけど…?ダメ………………?」

と、上目遣いで言ってくる。

他のやつだと、コロッと行っちゃうのかもしれねぇけど、俺にはちょっとわかんねえや。

俺にとっては、芽生がこの世でいちばんかわいい。
俺は、ベタ惚れなんだよ。

あいつは全く気づいてねぇけどな。





いや、俺は、芽生たちと帰りたいけど…

俺がこいつと帰ってたら、あいつ気にするかな?


なんて、そんなの考えたらダメだよな。

「ごめん、帰るのはちょっと」

そう言うと、


「高木芽生ちゃんだっけ?」

は!?
なんで知ってんだよ。


「好きなんでしょ?」

なんなんだよ、こいつ……。



「あぁ。だから、俺は…」


お前とは付き合えないって言おうとしたら

「私のこと利用すればいいじゃんっ。」


は?

そんなことしてもいいのかよ、お前は

「いいよ。私は、今岡くんと一緒にいられたらっ。」

こいつ素直だな。



「じゃあ、わかった。一緒に帰るか」


そう言うと、嬉しそうに笑っていた。


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