レモンミルクキャンディ
ーーーーーーーーーーーーーーー


「彩ちゃん、私、恋が叶いました。」
そう友人の小林由依に告げられたのは、約4ヶ月前、3月の下旬だった。
メールで報告が来た。
「おめでとう。」
「彩ちゃんには、本当に感謝してます。応援してくれてありがとう。感謝が伝えきれないよ。本当にありがとう!!」

隣には同じ塾の仲良い男友達が座っていて、私の変化に敏感に反応した。
「彩、どうした?」
「………由依ちゃん、恋叶ったってさ。」
「え……?は…?恋叶ったって……、え、まさかあの子、彩の好きな人と付き合っ…」
「………私、帰るわ。」
私は彼の言葉を遮って、席を立った。
「彩、…今日限りなら、胸貸してやるぞ?」
はぁ………。
この軽い口は何を言っているのだか。
「……彼女持ちが何言ってるの、馬鹿なの?」









私は迷った末に小林由依にこう送った。
「私も彼のこと好きだったんだよね。」
本当に自分は困った人だと思った。悲しみとショックは勿論大きかったのだが、それよりも彼女の反応を見てみたいという意地の悪さと彼女と付き合った私の好きだった彼への腹立たしさの方が勝っていたようだった。
私は続けた。
「でもまぁ、2人を応援してたのは事実だし、協力し始めたのは私だから、2人が上手くいって良かったと思うよ。あの人の彼女が由依ちゃんで良かった。」
良くない。いいわけが無い。
なんて綺麗事だろう。
ただ付き合った2人のそれぞれの個人への思いは、頭を冷やしてすぐに変化した。
「由依ちゃん、私はあの人にはこの思いは言わないよ。今は無理そうだけど、由依ちゃんに次顔合わせた時、笑って、おめでとうって言いたい。あの人にも何も言わずに格好よく終わらせたい。」
送った後になってから、自分自身が彼女に送った言葉をやっと理解した。
無意識に打っていた。


これは本心なのか自分でも正直わからなかったが、冷静になった今、半分は2人への意地だったのを覚えている。






< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop