【SS集】1分で読める超短編 ☆ホラーver☆
そこは音もなく静まり返っていた。

冷たい空気が肌にまとわりつく空間をおそるおそる下っていった。

階段からおりてすぐ側、閉ざされた空間の隅に身を置いた。


そこには思った通りに、手は一本も生えていなかった。

荒い息を整えていると、自分の呼吸に混じって、か細い呼吸が聞こえてきた。


ちっと舌を鳴らした後、無視をしようと呼吸と反対の方を向く。



欲しいの……あなたが……とりあえず……なんでもいいのよお……


穴はどこにもないはずなのに、突然そんな声がして胃の辺りが激しく蠢いた。


ちょおだあい……


体が熱い。
喉の奥から沸き上がるように込み上げてくるものがあった。


ねえ……

「ううっ」

苦しい……?

冷たい何かが喉を這い上がって、口の中から唇をこじ開けようとする。

「ぐっ…うっ…」


あたしはもっと苦しいの!!


怒り狂った声と共に、口から飛び出した手が勢いよく顔に襲いかかってきた。


喉から手が出るほど欲しいのよ?!


「ぎゃあああああ!!」



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