【SS集】1分で読める超短編 ☆ホラーver☆
4p何でも屋
「体をください」
その客は人の形をした白い霧のような、
霧のような……
「人間の体、売ってますよね」
私が見た限りでは今は人ではない。
妻がこの世を去ってから10年この店を続けているが、扉をすり抜けてきた客は初めてだ。
「何でもあるのでしょう。それともインチキですか?」
低くて通る声。
その声色から判断して、それは若い男性だろうか。
「聞いてます?」
「あ、ああ……」
苛ついたような強い口調で迫る彼に、レジカウンター越しとは言え後退りする。
「早く、体を」
彼はモヤモヤとした手らしきものを差し出して催促した。
そんなことを言われても……
“無い”と言いかけてふと気付いた。
有るじゃないか。
私の体が。
その客は人の形をした白い霧のような、
霧のような……
「人間の体、売ってますよね」
私が見た限りでは今は人ではない。
妻がこの世を去ってから10年この店を続けているが、扉をすり抜けてきた客は初めてだ。
「何でもあるのでしょう。それともインチキですか?」
低くて通る声。
その声色から判断して、それは若い男性だろうか。
「聞いてます?」
「あ、ああ……」
苛ついたような強い口調で迫る彼に、レジカウンター越しとは言え後退りする。
「早く、体を」
彼はモヤモヤとした手らしきものを差し出して催促した。
そんなことを言われても……
“無い”と言いかけてふと気付いた。
有るじゃないか。
私の体が。