【SS集】1分で読める超短編 ☆ホラーver☆
「あなたは……ちて…つ…し…」
静かだった夜風が急に強くなって占い師の声を書き消した。
別にもう一言も聞くつもりなんてないからいいんだけど。
私はカツッと五センチのヒールで地面を鳴らし、歩を進めた。
信じない。
信じない、こんなインチキ占い。
私の人生がそんなに悲惨なはずがない!
恋人とも上手くいってるし、友達も多い。
職場でも頼りにされてる。
貯金だって、学生時代から貯めているものが少しはある。
信じない、
あんなくそ占い師、信じるもんか!!
ヒューヒューと寒々しい風の音に混ざって、キイキイと何かが軋む音が聞こえた。
私が上を見上げたときには、もうその塊は宙に浮かんでいた。
パラパラ……
錆びた鉄粉が暗い路地に降り注ぐ。