【SS集】1分で読める超短編 ☆ホラーver☆
小雨だった雨は夜が更けるほどに本降りになり、首に紐を付けてぶら下がったてるてる坊主に雨粒がぶつかる。
濡れて透けて重くなった体を、首の紐だけで懸命に支えた。
風に飛ばされてきた木の葉が、容赦なく体にうちつけられた。
黒い油性ペンで描かれた顔は雨で滲んで台無し。
それでも、ニコニコ笑い続けた。
びゅうっと吹いた強い風に、首の辺りのティッシュペーパーが破けて、てるてる坊主はベランダに溜まった水の中へ。
溶ける。
ふやける。
消えてゆく。
跡にはティッシュペーパーの繊維が浮かぶ、濁った水だけが残った。