【SS集】1分で読める超短編 ☆ホラーver☆
2p火
「また会ったね」とおじさんは言った。
朱色に照らされた気味の悪い笑顔が、夜の闇に浮かんでいた。
「先週の、残っていたのは首から下だけだったらしいよ。あ、ニュースではやってたけどね」
聞いてもいないのにおじさんは喋る。
「ひどいよね?」
無視をしているのに問いかけてくる。
適当にあしらおうと思って口を開いたが、空いた歯の隙間から風が吹き込んできてすぐに閉じた。
「うん、ひどいよ」
おじさんは一人で納得して、燃え盛る木造アパートを満足そうに眺めた。
「前のやつ…先週の方がすごかったなあ。……な?」
顔をグルンとこちらに向けるおじさんは、とても愉快そうだった。