【SS集】1分で読める超短編 ☆ホラーver☆
3p細胞
オレの細胞は生きている。
生物学的な意味でも哲学的な思想でもない。
文字通り生きているんだ。
薬指「おい、親指、近づくな。暑い」
親指「仕方ないだろ、こいつがピースなんてするから」
そう、それぞれが意思を持って。
親指「だりー早く撮り終われよなぁ」
――聞こえてるんだよ!!
カシャッ
この時の彼女との写真、オレは頬をひきつらせていた。
自分の体のパーツたちの声が聞こえるようになったのは、ほんの数日前。
最初は空耳かと思った。
オレの足の裏が「疲れた!」と言ったのが始まりだ。
恐怖は感じなかった。自分の体の一部だからか、オレは彼らをすんなりと受け入れてしまった。
ただ、基本的に彼らは不満を言うから、オレはあまり気分が良くない。
脹ら脛「痒い!イライラする!」
ほら。
赤く腫れた虫刺されの痕が脹ら脛にぽつりとできている。
悪かったよ、掻けばいいんだろ!?
まったく、こっちの台詞だっていうんだ。