隣の殺人鬼
銅収堂の主任で、失礼だけど独身だからお金はいっぱい持ってそうなんだけどな。
てっきり高層マンションとか、グレードの高い部屋に住んでるかと思った。
「あ、運転手さんこの辺で大丈夫です。」
南町に入ってしばらくした所で青木さんがタクシーを停車させる。
「じゃあ鳥越君。お疲れ様でした。
また明日ね。」
青木さんがお金を渡してきた。
「え、悪いですよ。
お金は僕が払っておきますから。」
「誰に向かって言ってるつもり?」
青木さんは“主任”と役職が記載されている社員証をカバンから出してチラつかせる。
「・・・はい、主任。失礼しました。」
「分かればよろしい・・フフッありがとね。お疲れ様。」
お金を俺に渡した青木さんが車を降りる。
俺一人となったタクシーが再び発車するまで、小さく手を振って見送ってくれた。