隣の殺人鬼
背伸びしながら、タクシーが曲がり角を曲がるまで見送る。
気さくな運転手さんだったな。
さあて、シャワーだけ浴びてさっさと寝・・
「うお!!!」
部屋に行こうと階段のほうに向き直ると、
いつの間にか俺の真後ろに男性が立っていた。
「あ~びっくりした・・・こんばんは。」
「・・・・・・」
相変わらず帽子にマスク姿の202号室の人は、何も言葉を発さない。
こんな時間にどうしたんだ・・。
「・・・あ、僕がここにいたら邪魔でしたよね、すみません。」
階段降りてすぐの所を俺が塞ぐように立っていたから、202号室の人は立ち往生していたようだ。
少し横にずれて、進路を空ける。
「・・・・・・」
何も言わず、202号室の人は歩いて行ってしまった。
いや~~~~びっくりした・・・。
少し鼓動が早くなった心臓を落ち着かせるように深呼吸しながら201号室へと向かった。
第8話 完