隣の殺人鬼




「じゃあ三上さんはどうしてわざわざこんな所で一人暮らしを?」


「実家で不自由なく暮らしてたんだけど、ある時ふと思ったんだ。

“このままここで生活していれば、俺は洗濯機の回し方や、アイロンのかけ方すら知らないまま大人になっていく”って。

料理だって今はそれなりに出来るようになったけど、昔は卵がまともに割れなくて、目玉焼きすら満足に作れなかったんだよ。」




「そっからのこれって凄い上達ですね。」

三上さんが作った鶏肉のトマトソース煮をまじまじと見る。



「今はすごい楽しいよ。

親からの仕送りがあると言っても、きちんと家計簿つけて節約なんかしたりしてね。

それに・・・」




三上さんは立ち上がり、タンスから長方形の紙が何枚も束になっているものを取りだした。


「見てこれ。」


渡された紙を見ると・・・これは・・


「・・え!?めっちゃライブ行ってますね!
音楽好きなんですか。」



色んなアーティストのコンサートのチケットだった。

女性アイドルからジェニーズ事務所、

大御所バンドから・・正直聞いたこと無いバンドのライブまで。




「俺音楽聞くの大好きなんだ!

決まったアーティストはそんなにいないんだけど、とにかく色んなジャンルが好きでライブ行ってる。」


「確かに・・三上さんからは想像つかないようなオタクに人気のアイドルのライブにも行ってますね。」



「ライブってさ、当然そのアーティストが好きな人達が集まるだろ?

だから何て言うのかな・・もの凄いパワースポットみたいな感じになるんだよ。

それを体感するのも好きなんだ。

オタクの人達も、

“あの子推し”とか
“デビュー前から好きだった”とか

すごく情熱的で、何かに夢中になれるって凄く幸せなことだと思うよ。」




三上さんの目がすごく輝いている。
でも確かにその通りだな。



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