隣の殺人鬼
もしこの事が他の男性社員にバレたら、俺は暗殺されるかもしれないな・・。
コップに入っていたビールを一気に飲み干して瓶に手を伸ばした時、
向こうから小泉部長と横山さんと・・・
田村社長が俺の所にやって来るのを視界に捉えた。
・・・一体何だ!?
「社長。
こちらが先程お尋ねになった鳥越です。」
小泉部長が俺を紹介する。
立ち上がろうとすると田村社長がそれを制した。
「そのまま。そのまま。」
続けて横山さんが社長に口添えをする。
「前日の夜にニシダ製作所から無茶ぶりをされまして、こちらの鳥越君に徹夜で資料を作成してもらった次第です。」
「そうですか。西田社長も私も、君の説明には感心しましたよ。」
「あ、ありがとうございます。」
俺を見る田村社長の圧倒的なオーラについ声が裏返った。
「小泉部長、彼は今何を?」
「はい、1課で青木の下につかせております。磯村や私も、彼を高く評価しております。」
「分かりました。
鳥越君、歳はいくつですか?」
「24歳です。」
「大学はどこですか?」
「大学は出ておりません。
高校を卒業して銅収堂に入社しました。」
「・・・・面白い。
おい、佐竹。」
田村社長は後ろに控えていた秘書らしき男性の名前を呼ぶ。
男性はセカンドバックから小さな紙を取りだし田村社長に渡した。
「鳥越君、私の名刺です。
持っていてください。」
「は、はい。」
社長が名刺を差し出した時、
小泉部長、営業部長、横山さんをはじめ、
周りにいた人達の目が見開いた気がした。
「それでは今日の所は失礼します。」
田村社長が他の営業部の人達にも頭を下げながら、見送りをする部長達と一緒に出て行った。