隣の殺人鬼
眼鏡をかけて、インテリな雰囲気がプンプン漂うその人の前に立つ。
「田村社長の第1秘書をしている佐竹です。」
・・・あ!
そう言えばこの人は、前に田村社長が来た飲み会で、田村社長の後ろに控えていた人だ!
「もうお仕事は終わりますか?」
佐竹さんは俺と、少しだけ俺から離れて様子を見守るW課長を交互に見た。
「はい、一応今日は落ち着いていたので・・。」
「社長が君と食事をしたいと言っています。」
「「「ええ!?」」」
思わずW課長と声を揃えて驚く。
「磯村課長、よろしいですか?」
佐竹さんが時計を見ながら磯村課長に尋ねる。
「は、はい。
鳥越君、今日は定時で上がりなさい。」
「はい・・。」
「では定時になったら1Fの受付前で待っていてください。」
佐竹さんはくるりと体を翻すと、エレベーターに乗っていった。