隣の殺人鬼
「鳥越君、君からも何かないか?」
話し合いからしばらく、松岡主任が俺にパスを出してくれた。
「牛島課長、こちらをご覧下さい。」
午後一から作成した、俺なりに纏めた資料を見せる。
「こちらのグラフ、何のグラフかお分かりになりますか?」
緩やかに右肩下がりになっている棒グラフを見た牛島課長は首を横に振る。
「何だこれは?」
「これは過去30年の国内客先の売り上げデータです。」
「・・・・下がっているのか?」
「はい。緩やかですが特にここ10年、売り上げは落ちる一方です。」
「・・・・・・そうだったのか。」
「しかし、先程松岡主任からお話あったように、代わりに海外からの受注が飛躍的に増えました。
その為全体の利益は増えていますが、内訳を細かく見ていくと現状はこんな感じです。
このまま以前のように国内客先ばかりを相手にしていては、銅収堂の利益は落ち、遠い将来会社の存続自体が危うくなります。
牛島課長のもとには僕と同じように若い人達がたくさんいらっしゃいますよね?
僕やその人達が定年までこの会社で勤める為には、今は海外の顧客獲得が非常に重要になってきます。
その為にも今は海外顧客が要求する数量を、納期通りに納めて信頼を勝ち取らなければいけないんです。
そしてそれには現場の力が必要です。」
「・・・・・。」