阪神淡路〜あの日、あの時〜
余震
余震が幾度となく襲った。
その影響で目の前のポールが大きく揺れ、建物のガラス窓がバタバタと音を出した。

思わずキャビンから飛び出し、回りに何もない所へ移動した。
東の空からうっすらと明るくなりだしてきた。
いつの間にか同じく救援物資を積んだトラックドライバー達が集まり誰ともなく語り始めた。
「無事帰れるのか?」
帰るよ、帰らなきゃな、そう心で呟いていた。
しかし、その時恐ろしい話を耳にする。
救援物資を積んだトラックが神戸市内で瓦礫に突っ込みドライバーが死亡したと言う。
何てこった!良かれと救援物資を運んだドライバーが死ぬなんて・・・

AM、無事に救援物資をマイナスした私は神戸市内へ下り帰途につく。
しかし、神戸市内は全く道路が動かない。ただサイレンだけが鳴り響き続けていた。

片側2車線の道路だが、右側を我々のような特別車両と居住者車両、左側を緊急車両(警察、消防)、一般車両は通行禁止である。

余震で左前方の倒壊しかけていた、ビルが再び崩れた。
凄い音と共にコンクリートの煙が立ち昇った。
そして、その中目の前では瓦礫を必死に掻き分ける勇敢なレスキュー隊がいた。
と、その時・・・
「遺体が出たぞっ!」
しばらくすると、毛布に包まれた担架が二つ、一つは大人と分かる、だがもう一つは明らかに盛り上がりが小さく子供と一目で分かった・・・
涙が出た・・・
涙で映像がボヤけていたが、その担架がトラックの目の前を通り、左車線に止めていた救急車へと運び込まれた。
何でなんだろう、あんなに小さい子が・・・
涙は止まらなかった。
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