【漫画化作品】白昼悪夢〜引きずる老婆
……やだっ! やめてっ!
“ ……ズル、 ……ズル…… ”
……やめてっ! こっちに来ないでっ!
“ ……ズル、 ……ズル…… ”
4m、 3m、 2m……
その距離はだんだん近くなってくる。
近付くたび着物の擦れる音が大きく耳の奥にまで響いてきた。
“ ……ズル、 ……ズルッ…… ”
「……っ!」
とうとう残り1mまで迫られて私は恐怖に凍りつく。
……やだっ! ……やだあっ!
もう目と鼻の先までお婆さんが迫っている。
“ ……ズルッ、 ……ズルルッッ…… ”
「——やだっ……来ないでええっ!」
やっと口から声が出た。
同時に体の拘束が解かれ、私は上半身を起こしている。
「……はあっ、 ……はあっ、」
そこにお婆さんはいなかった。
警戒してお婆さんが這ってきた縁側の先に目を凝らすも、その姿は見あたらない。