甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
「ひーくんは今まで……」
今までどこで何をしていたのか聞こうと思ったけど、ふとひーくんと呼ぶのが恥ずかしくなってしまった。
小さい頃に呼んでいた呼び方だから、大きくなった今だと何だか歯がゆい感じがする。
「ゆあ?どうした?」
言葉を途中で止めてしまった私を心配してか、ひーくんは眉をハの字にして私の顔を覗き込んだ。
「え、あ、いや!小さかった頃みたいにひーくんって呼ぶのなんか恥ずかしいなって思っちゃって!
それだけだから、気にしないで!
それで、ひー…お兄ちゃんは今まで…」
「…名前」
「え?」
私の言葉を遮って、お兄ちゃんは小声で呟いた。
「俺のこと、名前で呼んで。
ゆあにお兄ちゃんって呼ばれるの嫌だから」
…嫌?
どうして嫌なんだろう。
私のお兄ちゃんなんだから、お兄ちゃんって呼んでも違和感ないと思うんだけど……
まるでお兄ちゃん扱いされるのが嫌だみたいな言い方。
でもお兄ちゃんが嫌なんだから、名前で呼んだ方がいいよね。
呼び捨てはさすがに出来ないから…
「…ひ、大くん?」
違和感ありすぎて語尾が疑問系になってしまった。