甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
それでもお兄ちゃんは満足してくれたのか、手を繋いでない方の手で私の頭を優しく撫でる。
「うん、それでいい」
お兄ちゃん……改め大くんは微笑んでまた歩き出した。
「俺はゆあと母さんと別れてから今までずっとアメリカにいた。
アメリカの小中高の学校に通って、でも大学はどうしても日本(こっち)がよくて親父に無理言って日本に戻るのを許してもらったんだ」
「そう、だったんだ」
私と大くんの両親、お母さんとお父さんは私が5歳の時、大くんが10歳の時に離婚した。
大きくなってから知った離婚の原因は、共働きによるすれ違いだったらしい。
それから私はお母さんに引き取られ、大くんはお父さんに引き取られて、離ればなれになってしまった。
別れてしばらくは手紙のやりとりをしていたけどそれも次第になくなって、気付けばお互い兄妹がいたことすら忘れてしまうくらいに月日が経ってしまっていた。
でもこうして再会できてよかった。
「じゃあ、大くんは今は一人でこっちに来てるの?お父さんは?」
「そう。今は大学近くのアパート借りて一人暮らし。
親父はまだ仕事やめるわけにもいかないから、アメリカに残ってる。
ゆあに会いたがってたぞ?仕事が片付いたらこっちに様子見に来るってよ」
お父さん…
手紙のやりとりをしてた頃はたまにお父さんの写真が入ってたりしてたけど、それもなくなっちゃったから会いたいな。