甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
「…ゆあは?」
「え?私?」
いきなり私の話になって驚いた。
それと同時に聞かれたくないことを聞かれてしまったと思った。
「いつもこんな時間までバイトしてるのか?
母さんは?バイトすることを許してるのか?
どうしてバイトなんか……ゆあ、これバイト先のじゃないのか?」
「え、あ…」
大くんの視線の先には、店長お手製の名札が鞄につけっぱなしだった。
最初に取った時に後でロッカーに入れようと思って付けたまま忘れてた。
大くんはその名札を取ると、私の名前に目を少し丸くした。
「"時瀬"って……母さんの旧姓は"佐藤"だろ?」
あぁ。何やってんだろ私。
一番知られたくなかったことを知られてしまった。
出来ることなら隠し通したかったのに。
ちゃんと名札置いたか確認しとけばよかった。
「…お母さんね……再婚したの!
もうびっくりだよね!いい年して再婚なんてさ!
でもお母さん結構幸せそうなの!だからよかったかなって」
「ゆあ…?」
お願いだからこれ以上は聞かないで。
大くんに余計な心配させたくなくて、笑顔を取り繕う。