甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
ここは神様が味方してくれたのか、家の前に着いた。
「あ、ここ!家ここだから!
今日は会えてよかったよ大くん!またね!」
「あ、おい!ゆあ!」
大くんの制止も聞かずに家に駆け込んだ。
私、ちゃんと笑えてたかな。
「そんなわけないよね。
大くんのあの反応見れば…分かるくせに」
玄関のドアに寄りかかって自分の頬に口元に手を当てれば、すぐにどうだったのか分かってしまう。
顔がひきつってる。
大くん、何かを言いたそうな表情をしてた。
でもごめんね。
誰にも迷惑をかけるわけにはいかないから。
靴を脱いで真っ暗な廊下を歩く。
リビングの電気を付ければテーブルには冷めた夕飯が置かれていた。
『おかえり。お腹すいてたら食べてね。母』
毎回置き手紙を添えて。
いつも夕飯はいらないって言ってるのに。
それでもちゃんと私の分まで作ってくれるお母さん。
「…ごめんね、お母さん。
お腹いっぱいなんだ…もう」
置かれた夕飯をそのままにして私はリビングの電気を消した。