甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
私の前に置かれたマグカップにはホットミルクが入っていた。
「…ホットミルクだ」
「ゆあ昔からホットミルクが好きで、よく母さんに入れてもらってただろ?」
よくホットミルクを入れてくれたお母さんも、今は再婚相手の子供に入れている。
離婚した時から私にはもう入れてくれなくなった。
どれだけの年月が離れていても、ちゃんと私の好きなものを覚えてくれてる。
そんな"家族"の温もりを久しぶりに感じた。
久しぶりのホットミルクが喉を通ると温かさが身体中に広がって、まるで家族に抱き締められているように感じる。
その温かさに涙が溢れそうになる。
でもそれは堪えなければいけないもので。
誰にも心配させたくないし、迷惑をかけたくないから。
「大くんは何飲んでるの?」
涙を誤魔化すように頭を切り替える。
丁度飲んでいた大くんは、一口飲んでからマグカップの中身を私に見せてくれた。