甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
大は結愛の勉強を教えてから、自身のテスト勉強をしていた。
(ま、こんなもんか)
今日やろうと思っていた範囲を終えると、大は軽く背筋を伸ばす。
そして隣で苦戦してるであろう結愛に視線を向ける。
「ゆあ、終わった…か……」
結愛は自分の腕に頭を乗せてこっちを見るようにして熟睡していた。
勉強もせずに寝るなと怒ってやりたかったが、あまりにも気持ち良さそうに眠る結愛を見るとその気もなくなってしまう。
開きっぱなしのノートを見れば自分がやれと言った範囲が終わっていて、終わっていたのに自分に声を掛けずに待っていてくれたのだと気付くと嬉しくなった。
大は頬杖をついて結愛の無防備な寝顔を微笑んで見つめた。
その瞳は"可愛い妹"を見る目というよりは、"愛する人"を見る目というのが当てはまるかのよう。
「…よだれ、出てるし」
大はテーブルの上にあったティッシュボックスからティッシュを取り、起こさないように結愛の口元から僅かに出ているよだれを拭ってやった。