甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
よだれを拭うと、結愛は僅かに身じろぎをした。
大は起こしてしまったかと一瞬焦ったが、起きる気配のない結愛を見て胸を撫で下ろした。
「……ひー、くん……」
「…っ!」
結愛が身じろぎをした後に言った寝言に、大は結愛の頬を撫でようとした手を止めた。
「…昔の夢でも見てるのか?ゆあ」
そう反応のない結愛に問いかけながらも、大自身も昔のことを思い出す。
忘れかけていた約束を果たしに。
かなりの年月が過ぎてしまったが、こうして再会することが出来た。
結愛があの約束を忘れていたとしても、思い出して拒絶されたとしても。
「…俺は絶対離さないよ、ゆあ……」
最初で最後の愛しい人だから……ーーー
大は結愛の頬に手を添えたままゆっくりと顔を近付けた。