甘い初恋は、イケナイ最後の恋。




よだれを拭うと、結愛は僅かに身じろぎをした。
大は起こしてしまったかと一瞬焦ったが、起きる気配のない結愛を見て胸を撫で下ろした。




「……ひー、くん……」


「…っ!」




結愛が身じろぎをした後に言った寝言に、大は結愛の頬を撫でようとした手を止めた。




「…昔の夢でも見てるのか?ゆあ」




そう反応のない結愛に問いかけながらも、大自身も昔のことを思い出す。




忘れかけていた約束を果たしに。




かなりの年月が過ぎてしまったが、こうして再会することが出来た。




結愛があの約束を忘れていたとしても、思い出して拒絶されたとしても。




「…俺は絶対離さないよ、ゆあ……」




最初で最後の愛しい人だから……ーーー




大は結愛の頬に手を添えたままゆっくりと顔を近付けた。



< 31 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop