甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
「今回もその次だって翔には泣きつかない!
もう翔の手は必要ないから!」
大くんに教わって、テストがいい出来だったら大くんに見せて褒めてもらうんだ。
そう思うほどに嫌いだった勉強も意欲が沸く。
そして何よりも翔が私の言葉で驚いているのは、かなり気持ちいい。
翔の驚いた顔に満足して、私はまた勉強を始めた。
再び勉強を始めた結愛を翔太郎と知紗はしばらく見ていた。
先に動き出したのは翔太郎の方で、力無く席に座った。
それを見た知紗はニヤリと笑って翔太郎の席に行く。
「残念だったな、翔太郎。
結愛にアンタはもう必要ないってさ」
翔太郎の顔を覗けば、両想いと思い込んで自信満々に告白したらフラれたくらいに落ち込んだ表情をしていた。
「ま、翔太郎塾の生徒ならここにもいるからさ!」
翔を元気付けようとこの言葉と共に肩を強く叩いても、翔太郎は無反応だった。
(相当ショックだったんだなー…
なんだかんだ結愛に勉強教えるの楽しみにしてたし。
にしても結愛、なんだか最近……)
「最近の結愛、なんか楽しそうっていうか…嬉しそう」
知紗の声に反応した翔太郎は後ろの席で勉強を張り切っている結愛を見つめた。