甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
徐々に暖かくなってきた5月の夜。
居酒屋などで賑わう大通りを大は走って通り過ぎていた。
結愛の今日のバイトは早上がりだと知っていたが、自身のバイトが長引いてしまい走って迎えに行くことになってしまった。
かなりの距離を走って息が荒くなっているが、走る足は止められない。
早く、一分一秒でも早く結愛に会いたいから。
大の思いが届いたのかいつもより早く結愛のバイト先に着いた。
「…ゆあ!悪い遅くなった!」
スタッフの出入り口から入り、結愛が待ってるであろう休憩室を勢いよく開ければ机に伏せて眠っている結愛と、そんな結愛にブランケットをかけている店長がいた。
大が勢いよくドアを開けたことで驚いた店長は、ブランケットをかける手を止めて大を見た。
「お、大くん!
結愛ちゃんちょっと前まで起きて勉強してたんだけど、今さっき見たら寝ちゃってて」
結愛に近付けばノートと教科書を広げて、その上に伏せてスヤスヤと眠っていた。
シャーペンは握ったまま、ノートには眠気と戦いながら勉強していたのかシャーペンの謎の線が所々に書かれている。
それを見て大はつい可笑しくて笑った。